○柏餅の葉
五月といえば、「端午の節句」が一番に思いだされます。現在では「子供の日」と呼ばれますが、 鯉のぼり、菖蒲湯、五月飾り、柏餅、ちまきなどといった必須アイテムにはどこかで必ず出会います。
うちは家族そろってもち好きなので、柏餅は五月にはたびたびお目にかかるのですが、それに関して 最近ちょっと気になる情報を目にしました。
一般的に東日本では普通にカシワの葉を用いるが、カシワの木が自生していない西日本ではその代 用としてサルトリイバラの葉を用いたといわれます。これは、ウィキペディアにも記述されています し、他の食習慣紹介サイトなどでもそういった記載があります。ところが、ある在野の植物研究家の 方によると、真実はその逆だといいます。
本来身近なところで自生している木の葉(サルトリイバラなど)に餅を包んでいたが、江戸では適 当な木の葉の大量入手が困難になったため、原材料として取り寄せたカシワの葉に置き換わっていき また。しかし、参勤交代などで江戸に出てきた地方出身者には不評だったため、カシワの葉は縁起が 良いという宣伝をおこなって次第に定着したというものです。このサイトには学術的な植生の資料も 掲載されています。なるほど、その結果を見てもこの説を裏付けているようです。
資料によると、香川県も本来はサルトリイバラなどカシワ以外の葉を使用していた地域のようです が、残念ながら僕はカシワの葉を用いた柏餅しか見たことはありません。皆さんの目にする柏餅の葉 は何の木の葉でしょうか。
参考文献 ウィキペディア
広島の植物ノート 別冊 2009/5/4 http://forests.world.coocan.jp/fnote/?p=109
○木材と木質材料
前回に続いて「木」の話です。
私たちの生活の中で思い浮かべる「木」というと、葉の青々と茂った立木と、それを切り倒して 製材した木材という素朴なイメージだと思います。
庭に植えてある「木」などは、イメージと現実の差はほとんどありません。しかし素材としての 「木」について考えてみると、製材品(無垢材)は案外少なく、何かしらの加工を施されたものが 目に付くと思います。今回は、身の回りにある「木を加工して作られた素材」(木質材料といいま す)を紹介してみたいと思います。
そもそも天然の木材は軽量の割に強度が大きく、適度の吸湿性、断熱性があり加工も容易であり、 すぐれた材料です。しかし一方で方向によって膨張・収縮、強度の差が大きく、さらに生物である ため強度などの性能もばらつきが大きいという欠点もあります。
そうした欠点を克服するため、木材をチップや繊維に細分化して接着剤などで再構成するという 工夫がなされるようになりました。木質材料では細分化がポイントです。細分化するのは1.製材で は寸法に制限がある、2.製材では強度や安定性に限界がある、3.形状や部位によっては製材に適さ ない、4.分解すれば容易に乾燥でき、「狂い」が防げる、といった理由からです。
細分化の仕方によって出来上がる製品が異なります。主なものは、引き板を積層して接着した集 成材、木材を薄くむいた板を木目の直交方向に積層接着した合板、平行方向に積層接着したLVL、 木材の小片を接着剤で成形熱圧したパーティクルボード、木材を線維化して成形したファイバーボ ードなどがあります。
これらの製品は木が持ついくつかの性質についてその機能を強化したものです。こうした製品の おかげで原料・寸法・性能選択について自由度が高くなり木製品の幅が広がり、生活の利便性が向 上したことは間違いありません。とは言いながら、使いこなすのはなかなか難しいけど、理解して 使ってやれば時間とともに味わいが出てくる製材品(無垢材)の方が個人的には好きなのですが。
参考文献 木工大図鑑 講談社
いまさら人に聞けない木の話 林 知行 著 日刊木材新聞社 木を学ぶ木に学ぶ 佐道 健 著 海青社
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