家づくりQ&A 138回
全国的に緊急事態宣言も解除さ、新型コロナ禍も取りあえずひと山超えた感があります。しかし、まだ油断はできません。ということで、一週遅れましたが今週も本の紹介をいたします。
建築の黙示録 ARCHITECTURAL APOCALYPSE
宮本隆司 著
最近では廃墟ブームなどもあり、廃墟紹介のサイトや写真集もありますが、この写真集は秩序を失っていく過程の一瞬の中に美しさを見出したという意味で、その先駆けとなったものといえます。 著者は中野刑務所の解体現場の光景に衝撃を受け、半年にわたって解体過程に密着した事をきっかけに、「ベルリン大劇場」や「つくば科学万博」の解体現場へと撮影の場を進めて行くことになります。その活動の集大成が本書です。 また、本書には「廃墟」となる前の香港・九龍城の写真も収められいます。後に九龍城のみをテーマにした写真集も発表されいることから、著者独特の感性は混沌の中のに共通する「美」を感じ取ったのではないでしょうか。 30年ほど前に出版されたモノクロ写真集ですが、その衝撃はいまだ色褪せません。 本書は長らく絶版でしたが、2003年に新判として復刊(今ではこちらも品切れ)されています。しかし、編集の方針からか九龍城の写真はカットされているそうです。第14回木村伊兵衛賞を受賞した作品だけに、そこはちょっと残念です。
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